2005年8月に上海の浦東国際機場駅と龍陽路駅の間で世界初高速営業運転を始めた上海のリニアモータカーは、すでに今年で10年目を迎えようとしている。
当初、このリニアモータカー路線を全国へ展開する構想なども描かれていたが、今のところその案は何処でも実現していない。
また2010年の上海万博の際には突貫工事で万博会場に乗り入れるなどの構想も噂されたが、電磁波の影響を気にする沿線住民の反対運動なども影響し、とても間に合わないということで結局実現することはなかった。
実はその2010年に上海虹橋国際空港T2と上海虹橋駅が開業した際、空港と駅の中間にリニアモータカーの駅を設置できる空間が確保されており、同時開業は間に合わなかったが、この上海虹橋交通ターミナル(虹橋交通枢紐)にはリニアモーターカー乗り入れ構想がしっかり組み込まれていたことになる。
実際、現在上海交通ターミナルの東交通中心の3階に展示されているターミナルの建設の歩みを示す展示コーナーの上海市が描いた構想の図にはしっかりと写真入りで乗り入れ構想が示されている。
これらの構想図の中に現在の終点の龍陽路駅から上海虹橋駅に至る具体的なルートも示されており、その図によると上海万博の予定地を経て上海南駅、上海虹橋駅に至るルートとなっており、やはり噂通り上海万博の会場に乗り入れる構想が有ったことが分かる。
結局実際にはこの構想は実現せず、リニア開業10年目の現在に至ってもこの構想が実現するような気配は今のところ見えない。
この点について昨年2013年に上海市が出した交通発展白書によると、上海浦東国際空港と上海虹橋国際空港・上海虹橋駅間の快速軌道交通整備の必要性を謳っており、今後何らかの新交通網の整備が進む可能性はあることを示している。
ただし示されている言葉は「快速軌道交通」となっており、必ずしも「リニアモータカー」と限定されていないことから、リニアモータカーではなく新幹線タイプの高速列車などが採用される可能性もある。
確かに両空港間は60キロ程度の距離しかないため、時速400キロで走行出来れば10分程度で到着できるが、時速200キロの列車でも20分程度であり、汎用性とコストを考えるとリニアがそれほど優位性が高いものではないと言える。
この「快速軌道交通」計画について今のところ具体的な計画は発表されていないが、今年2014年10月に上海虹橋駅の西側に国家会展中心がオープンし、上海虹橋交通ターミナルが再びビジネスの中心として注目されているため、これをきっかけとして「リニア乗り入れ」或いは「快速軌道交通」がスタートする可能性がある状況は生まれている。
また先日の日本でのJR東海による東京―名古屋間のリニアモータカー建設着工も中国でも大きく報じられており、これが上海の関係者を刺激していることは想像に難くなく、これを機として上海リニアの虹橋乗入れも再び議題に上がる可能性があり、今後遠くない将来に何らかの動きがあるかも知れず注目すべき状況となっている。
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