到着したはずの機体をよく見ると、ボーディングブリッジが接続できず、機体に対して少しばかり高い位置で止まっている。
ボーディングブリッジを支える支柱の足元に空港作業員が集まって、何やら相談しているようだった。
どうやらボーディングブリッジの油圧ジャッキに不具合が出て、ちょうど良い高さにブリッジを下げられない事態が発生したらしい。
係員が一生賢明に操作を行なっているが、機械はうんともすんとも言わず一向に動く気配がなかった。
開港初日のトラブルと言えばお約束的なほどに良く起こることだが、それにしても開港初日なのだからそれなりに動作チェックはしているはずであり、この状況はちょっとお粗末な結果である。
このまままだと、今到着した乗客は空港ターミナルを目の前にして降りることが出来ないのである。
取りあえず乗客は降りられなかったが、荷物を倉庫室から降ろしたり、コックピットの窓を開けチェック資料などのやりとりなど、この状態でも出来る作業を係員たちはまず行なっていた。
ジェット機のコックピットの窓が開くのはこの時初めて知ったし、当然実際に顔を出している姿を目の当たりにしたのも初めてだったのでこれはこれで、ちょっと新鮮な衝撃である。
そこへ背中に階段を背負ったタラップ車がやってきた。
旧駱崗空港で使われていた物そのままらしく、階段脇に「合肥駱崗空港」と書かれたままになっている。
ボーディングブリッジが動かないので、タラップで乗客を降ろそうという発想のようだが問題はその設置位置である。
通常はタラップの場合であっても、ボーディングブリッジと同様に航空機の左前部から乗り降りするのが常であるのだが、今回はそこが塞がっているという事態になっており使えない。
そこで別のドアを探すということになるのだが、左前部のドア以外からの乗降となるとこれは航空機運用の中でもかなりレアケースな対応だろう。
まずタラップ車は、航空機の後部左側の位置に移動したが、さらにやはり後部右側に移動して待機態勢をとったのである。
右側後部なんて、めちゃくちゃ珍しいだろうし、少なくとも私は過去に見たことが無い。
が、やはり左側に戻り、左側の後部ドアにタラップ車がセットされ、後部ドアが開いたのある。
ここから乗客が下りるのかなとずっと様子を見守っていたが、一部の乗務員が下りてきただけで、乗客が下りる気配はないようだった。
どうしたのかなと思っていると、空港内アナウンスが入り、
「山東航空の青島行の便は搭乗口をA6に変更します」と放送だった。
結局、ボーディングブリッジもタラップも諦めて搭乗口を変更するという対応になったようだった。
確かにタラップを使うとなるとしても、次の搭乗客(私)の搭乗口を変更することは一緒で、バスの手配などをいろいろ考えると結構面倒臭く、ならばやはり航空機ごと動かしてしまうのが一番簡単だったということらしい。
そこでプッシュバックを行なうトーイングカー(航空機牽引車)の登場である。
航空機が自力で旋回して移動するのはスペースの都合上からほぼ不可能なので、トーイングカーでバックさせてやり、さらに新しいボーディングブリッジまで連れて行くのである。
これによりようやく乗っていた乗客は降りることが出来るし、私の搭乗も間近になったようである。
時刻は既に14時となり、この時点で定刻の40分遅れである。
中国の航空機利用はこのくらいの遅れは日常茶飯事であり、いらいらしててもしょうがない。
さて青島(チンタオ)へ向かって出発である。
(青島流亭空港編へ続く)
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