上海浦東国際空港と上海市内の龍陽路駅を結ぶリニアモータカー「トランスピッド」は、世界初の高速営業運転を行なうリニアモータカーとして知られているが、昨年2013年5月23日からこのリニアモーターカーのチケットと地下鉄乗り放題券を組み合わせたマルチパスが発売されている。
このパスは中国語では「磁浮地鉄一票通」と表示され英語表記は「MAGLEV&METRO PASS」で上海リニアモータカー(マグレブ)と地下鉄のマルチパスそのままの名前となっている。
パスはリニアモータカーの乗車回数によって2種類あり、リニア片道+地下鉄乗り放題のパスが55元、リニア往復+地下鉄乗り放題のパスが85元となっている。
それぞれの個別の通常料金はリニアモータカーの片道料金が50元、地下鉄乗り放題1日券が18元であるから、片道券で13元、往復券で最大28元お得になるが、既にリニアモータカーの往復券は80元の設定があることを考えると、実質的なお得度額はやはり13元という計算になる。
また地下鉄部分も1回の平均乗車運賃が4元で計算すれば、元を取るには5回の乗車が必要になるため単純往復だけでは元は取れないが、毎回切符を買う手間が省け上海公共交通カードのように保証金も必要なく、さらにカード自体が記念品として手元に残ることを考えれば短期の滞在の旅行客にはとても便利なカードであることは間違いない。
上海地下鉄の地下鉄の人民広場駅や静安寺駅など主要駅で購入出来、リニアモータカーの上海浦東国際空港駅ではクレジットカードでも買えるようだ。(地下鉄駅ではクレジットカードは使えない模様)
上海リニアモータカーの上海浦東国際空港駅は空港のT1・T2の両ターミナルの中央に位置し、地下鉄の駅と対峙するように北側に改札口とコンコースがある。
入場にはまず大きな荷物検査機でセキュリティチェックを受ける必要があり、その後に自動改札を通過するが、通常の切符もカード式で今回のパス同様ににセンサーにタッチする方式になっていて、センサーが感知すると自動的にゲートが開く。
中のコンコースはだだっ広く、窓を大きく採光できるようになっているためか、夜はやや暗い印象で、売店等もないのでここに滞留する人も少ないのでゆったりとしていると言えば聞こえはいいが、やや寂しい印象だ。
エスカレーターでホームに降りると今回は既に車両が止まっていた。
ホームにホームフェンスはあるが、乗車口に自動扉はなくロープによるに制限がしてあるだけで、列車到着時に係り員が人の手でロープを外す。
これは合理性というより、おもてなしの高級感を演出する施設のような印象だ。
さて、内部には客席以外にもスーツケース置き場が設置されているが、この荷物置き場はやや小さいので混雑するとすぐにいっぱいになるのと、僅か10分足らずの乗車時間を考えると、この配置が妥当なのかを考えさせられる面もある。
上海リニアモータカーの内部の客席3人掛けシートが2列のゆったりとしたつくりで、シートピッチは85センチくらい、座席は布張りシートの上に更に水色のカバーが掛けてあり、まあ見た目に高級感があるとは言えないが、座り心地はまずまずであり少なくとも不潔感はない。
座席上部には読書灯も着いており、航空機を意識したつくりで、日中の日光を遮るカーテンもついている。
列車は一瞬ふわっと浮いたような状態になったあと、静かにゆっくりと動き出す。
まるで離陸時の航空機のようなスピード感である。
一応最高時速437キロとされているが、近年周辺の騒音の問題もあって一部の時間帯を除いては時速300キロに制限されていて、所要時間も7分40秒から8分19秒となっている。
時速300キロの運行だと437キロの時に比べ、揺れも少ないので安全性や乗り心地はこちらの方が断然よいようだ。
それでも時速300キロはとても速く、あっという間に龍陽路駅に到着する。
龍陽路駅もホームも何の設備もないのではやや寂しく、降車客はそそくさとエスカレーターを降りていくのであっという間に人がいなくなる。
龍陽路駅はホームごと屋根が覆うモダンな造りの駅だが、その分だけ開口部も大きく、夏は暑く冬は寒い状況になる。
リニアモータカーの駅の改札口を出て、エスカレーターを降りると目の前に地下鉄2号線と地下鉄7号線の龍陽路駅があり、途端に中国のローカルチックな雑然とした雰囲気となり、駅前がやや暗いこともあってかリニアモータカーで来た外国人利用客は、いよいよ中国の街に飛び込むのだとここで実感するだろう。
さて本来ならここで切符を買わなくてはいけないが、ここでマルチパスが威力を発揮し、切符を買わずにそのままパスで自動改札口に行ける。
現在地下鉄乗車時には全駅でセキュリティチェックが有り、小さなバッグだけなら呼び止められることは少ないが、大きなスーツケースなどは必ず通さなければならないので、覚悟をしておこう。
このマルチパスは、この最初に自動改札口を通過した時から24時間が計時されるので、ここで入場した時間を覚えておく必要があり、翌日の同じ時間まで地下鉄を使う目論見で行動計画を立てたい。
ただ、この日はホテルや家に向かうだけ或いは24時間後までに地下鉄に乗る計画が無いような場合は、無理にここでマルチパスを使い始める必要はなく、地下鉄分は有効期限内なら使用開始はまた後日でも良く、予定に合わせてうまく使いたい。
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